【vol.2494】
こんにちは!
カウンセリングオフィス
プログレスのむかいゆかです。
今、話題のNetflixで配信されている
現代の美容整形業界を舞台にした
『ダウンタイム』というドラマ、
ご存知でしょうか?
巷の話題どおり、
最初からグッと引き込まれるものがあって
私も、一気に観てしまいました。
「美」を追い求める人たちが抱える
葛藤やコンプレックス、
その元凶となった人間関係など
キラキラした
美容医療業界の裏側に潜む闇にも
スポットライトを当てたドラマです。
セラピストとして、
登場人物の心理やその背景が
色々と気になったり
共感を覚えたりする場面も
多々ありましたが
その中でも
今日は野呂佳代さんが演じる
40代女性のエピソードを
取り上げようかと思います。
この女性は
周囲からは決して見えない部分、
具体的には女性器なのですが—
そこにコンプレックスを抱いていました。
誰にも気づかれない場所ですし、
誰かに何かを指摘されたわけでもない。
それでも、彼女にとっては
大きな悩みだったのです。
このシーンを見ながら
私は臨床現場で何度も聞いてきた言葉を
思い出していました。
「こんなことを相談するの、
大したことじゃないんですけど…」
「みんなもっと大変な思いをしてるのに、
こんなちっぽけなことで
悩んでる自分が本当に情けなくて」

この「大したことじゃない」という前置き、
実はとても多くのクライエントの口から
出てくる言葉だったりします。
そして、私はこの言葉を聞くたびに、
頭の中で、こんなことを考えています。
「その人にとって大したことかどうか」を
他人が —ときとして本人自身が—
一方的に決めつけてはいないか?…と。
コンプレックスというものは
誰かに見えていようがいまいが
本人の中でそれが
どれほどの重みを持っているか。
それだけが
その人にとっての真実なんですよね。
そして、
「大したことじゃない」と
最初に言ってしまうことにも意味があると、
私は思っています。
多くの場合、
それは謙遜だけではないからです。
「これくらいのことで助けを求めて
大袈裟だと思われるんじゃないか」
「もっと苦しんでいる人に申し訳ない」
そんな言葉の裏側には
否定的な評価への不安や
助けを求めることへの後ろめたさが
隠れているように思います。
つまり、
「大したことじゃない」という
言葉そのものが
実はその人が
これまでどんなふうに自分の悩みや
弱さと付き合ってきたかを映し出す
ひとつの手がかりだと思うのです。

セラピーの中で
私が大切にしていることは
「それはあなたにとって大事なことですよ」
と、安心させることだけではありません。
「どうしてあなたはそれを
そんな小さなことに
してしまうのか?」
というところまで
一緒に立ちどまって見てみること。
その人が
これまでの人生で
どのように自分の感情を扱うことを
許されてきたのか。
そして、その感情を
どのように周りの人に
受けとめてもらえてきたのか。
職場でも、家庭の中でも、学校でも…
「大したことじゃない」と
自分を小さくすることでしか
やり過ごせなかったのだとしたら
それこそが、
本当に向き合う価値のある
テーマなのだと思います。
見えない場所にあるコンプレックスも
口に出す前に「大したことじゃない」と
付け加えてしまう癖も、
どちらも同じことを
教えてくれているのかもしれません。
コンプレックスの良し悪しは、
他人がジャッジすることではなく、
悩んでいれば、それは立派な悩みであり
大切に扱われる必要がある。
そうやって
自分の感情ひとつひとつを
大切に扱うことの積み重ねが
きっと自分自身との向き合い方を
変えてくれることでしょう。
感情と出会い直すとき、人生は彩りを取り戻す。
カウンセリングオフィスプログレス
公認心理師 | 臨床心理士 | AEDP®︎認定セラピスト
向 裕加(むかい ゆか)
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