
セラピーではよく
「その感覚に少し留まってみましょう」
と言いますが
それって
どういう意味だと思いますか?
【vol.2188】
こんにちは!
カウンセリングオフィス
プログレスのむかいゆかです。
私のセッションでよく使う言葉のひとつに
「ちょっと、そこに留まってみませんか?」
というフレーズがあります。
この「留まる」という言葉を聞いて
多くのクライエントの方は
「え、どういうこと?
それって何の意味があるの?」
と戸惑われますが
実はこれには
脳のはたらき(=神経可塑性)に
深く関係しているんです。
今日は
そんな「体験に留まる」ことの意味を
セラピーと脳科学の視点から
お話ししてみたいと思います。
「そこに留まる」って
なにをしているの?
セラピーの中で
安心感やあたたかさ、もしくは、
誇りや自身に対するやさしさといった
ポジティブな感情が生まれたとき
私はよく
こういう言葉がけをします。
その感覚に留まって
味わってみてください
このとき
クライエントは変化の“芽”を
感じてる状態なんですよね。
それをすぐに
スルーしてしまわずに
丁寧に味わってもらうことが
大切なのです。
でも、なぜそんなに
「留まる」ことが
重要なのでしょうか?
脳は“感じたこと”を
すぐには覚えられない
ここで関わってくるのが
神経可塑性(Neuroplasticity)
という考え方です。
これは、簡単に言えば
「脳は経験によって変化する」
「その繰り返しによって、
神経回路がつながり直す」
という仕組みのこと。
たとえば
「自分は安心してもいいんだ」
といった感覚。
新しい感情体験なんかは特に
意識的にしばらく“味わう”ことで
脳に刻みこまれていきます。
実際、神経科学の分野では
「ポジティブな体験は
15〜30秒ほど注意を向けることで
脳の記憶のネットワークに
取り込まれやすくなる」
といった研究もあります
(Rick Hansonの
『Hardwiring Happiness』など)。
つまり、「イイ感じ」が
ふっと訪れたときに
それをスルーせずに「留まる」ことで
脳が
「これは大事な情報だ!」と判断して
記憶してくれるんですね。
癒しの瞬間を
脳と心に“沁み込ませる”
セラピーでは
「ただ話す」だけでなく
「変化の瞬間をどう味わうのか」が
とても重要だったりします。
安心感、つながり、希望、
自分へのやさしさ…
こうした体験に
丁寧に留まることで
クライエントの中に
「こう感じてもイイんだ」
「これが私の本来の感覚かもしれない」
という
新しい自己感が芽生えます。
その瞬間にこそ
脳の神経回路がつながり直している。
言い換えれば
心と脳が「生き直し」を
始めているのです。
こうした“沁みるような体験”を
ひとつひとつ丁寧に味わいながら
ゆっくりと自分の中にしみこませていく——
それが
セラピーの中で起こる深い
「変化のプロセス」なのです。
もし今、
「ちゃんと感じるってどうしたらいいかわからない」
「ひとりでは、味わうのがこわい」
そんなふうに思っている方がいたら——
住所 | 〒060-0042 札幌市中央区大通西1丁目14-2 桂和大通ビル50 9F マップを見る |
---|---|
営業時間 | 【火~金】13:00~20:15 【土】10:00~17:00 |
定休日 | 日・祝日・月 |