
日本のセラピー/カウンセリング制度には
スーパービジョンの義務化や資格制度の整備など
多くの課題が残されています。
「Do No Harm(害を与えない)」
という倫理原則に照らして
国際的な視点から見た
日本の現状を問い直してみました。
【vol.2135】
こんにちは!
カウンセリングオフィス
プログレスのむかいゆかです。
AEDP®︎のトレーニングの
アシスタント業務を通して仲良くなった
台湾人のAEDPセラピストのEvonとは
ちょくちょくZoomでおしゃべりをする仲で
先月、NYで開催された
AEDPのカンファレンスでは
はじめて出会ってから1年越しで
ようやく本人に会うことができました。
(私とEvon@AEDPカンファレンス in NYC)
そして今日は
そんな彼女が主催するセミナーに
ゲストスピーカーとしてお招きいただき
日本の
セラピー/カウンセリング事情について
話をさせてもらいました。
日本の臨床現場の実情に
台湾のセラピスト/カウンセラーたちが
どれだけ興味を持ってくださっているのかーー
そんなことを思いながら参加したのですが
フタを開けてみるとなんと
日曜日にもかかわらず
リアルタイムで参加してくれた方が
50人近くも!
お休みの日にもかかわらず
これだけ多くの方が集まってくださったことに
心から感謝した次第です。
このセミナー、
私が話題提供者ではありましたが
台湾の皆さんから寄せられた質問や感想に
私の方が学ばされることも
少なくありませんでした。
たとえば、こんな質問がありました。
「なぜ日本ではライセンス制度や
スーパービジョン(指導)の仕組みが
整っていないのですか?」
それはまさに
私自身がずっと疑問に
思ってきたことでもあるんですよね!
日本には
「臨床心理士」や「公認心理師」という
国家・民間の資格が存在しますが
それらが臨床の質や倫理を
必ずしも保証しているとは言えないのが
現状です。
スーパービジョン(研修/指導)が
義務づけられておらず
さらに、資格がなくとも
“カウンセラー”として開業できてしまう
制度的な抜け穴もあります。
私はこの問いに対して
正直、恥ずかしい気持ちを抱えながらも
隠すことなく
ありのままに伝えることを選びました。
なぜなら
こうした状況を放置することこそが
「Do No Harm(害を与えない)」という
倫理原則に反すると思うからです。
「Do No Harm(害を与えない)」とは
医療や心理支援の分野で大切にされている
倫理原則のひとつです。
クライエントにとって安全であること、
セラピストの知識・技術・姿勢が
支援の質を左右する以上、
「harm(害)」を最小限に抑える努力と、
それを可能にする構造的な仕組みが不可欠
とされています。
にもかかわらず
今の日本のセラピー・カウンセリング制度は
スーパーヴィジョンの義務化もなく
資格がなくても
自由に“セラピスト/カウンセラー“を
名乗れる仕組みがある。
それは本当に
「Do No Harm」の原則に
則っていると言えるのか——
そんな問いが
私自身の中でも強く残りましたし
むしろ、この現状を
透明性をもって外に発信することこそが
未来を少しでも良い方向へと
変えていく一歩になる
…と信じているからこそ
ありのままの実情をお伝えしました。
そして、もうひとつ、
とても印象的だった発言がありました。
「日本人は
細部にこだわる民族だと思っていたので
制度や教育/指導体制が整っていないのは
とても意外でした。」
この言葉にも
ハッとさせられたんですよね。
たしかに、日本では
ものづくりの精度や
接客の丁寧さに象徴されるように
“細部へのこだわり”が
文化として根づいています。
それなのに
「人のこころ」を扱う
専門職の設計制度においては
なぜか構造的な整備や倫理的基盤が
長いこと後回しにされてきた——
その背景には
「こころの問題は自己責任」
「支援は善意で成り立つもの」という
根強い価値感や旧来的な考え方が
制度改革のブレーキに
なっているのかもしれません。
だからこそ
現場で日々クライエントと向き合う
一人の臨床家として
この“恥ずかしい”現実を
見て見ぬふりせずに語っていくこと
そして声を上げていくことーー
それを
これからも大切にしていきたいと
改めて思った次第です。
小さな声でも、誠実な声が集まれば
少しずつでも、確実に変化は起こせるもの。
それを信じて
日本のセラピーの未来が
もっと健やかで、支援を求める人にとって
安心できるものになるよう
これからも、現場からの声を
届け続けていきたいと思った
日曜日でした。
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