【vol.2484】
こんにちは!
カウンセリングオフィス
プログレスのむかいゆかです。
「そのくらいのことで、
そんなに悲しんで……」

長年共に過ごしたペットを亡くした方から、
周囲からそんな言葉をかけられた…と
耳にすることがあります。
悪気があるわけではないのでしょうが
ペットを飼ったことのない人にとって、
その喪失の重みというものは
なかなか想像できないのかもしれません。
けれど、その一言によって、多くの人が
「自分の悲しみ方はおかしいのだろうか?」と感じ
気持ちを誰にも話せないまま
一人で抱え込んでしまうということは
決して少なくはありません。
心理学では
「公認されない悲嘆
(disenfranchised grief)」
という考え方があります。
これは、アメリカの老年学者
ケネス・ドカ(Kenneth J. Doka)が
1989年に提唱した概念です。
彼はこの悲しみを
「社会的に公然と認められることも、
人前で悼まれることも、
周囲からのサポートを受けることもできない
喪失によって生じる悲嘆」
と定義しました。
ドカが挙げた例には
ペットロスの他に
流産や疎遠だった家族との死別、
健康や職・夢の喪失、
自殺や薬物過剰摂取なども
含まれます。
いずれも、当事者にとっては
紛れもなく大きな痛みが
伴うものではあるのですが
「一般的な死別」と同じようには
受けとめられにくいことが多いです。
こうした喪失は
周囲からの理解やサポートが得られにくく、
儀式や労いの言葉すら向けられにくい…
という特徴があります。
そして厄介なのは、
当事者自身も
「これくらいで悲しむなんて」と
自分自身の感情に
善悪による評価を下してしまって
悲しみに二重のふたをしてしまうのです。

ペットとの関係には、
実は人間同士の関係にはない
ある特徴があります。
それは
「評価やジャッジがない」
ということです。
仕事の成果も、社会的な肩書きも、
その日の機嫌の良し悪しさえも、
ペットとの関係には関係がありません。
ただ、そこにいる…という
関わり方そのものが
純粋なものとして
積み重なっていきます。
だからこそ、
そこに育まれる愛着は
驚くほど深いものになり得るのです。

そして、そういった深い愛着は、
失われたときに、
それだけ大きな痛みを引き起こすのです。
ですから
悲しみの大きさというものは
それだけ大切にしていたものの
大きさの証でもあるのです。
ジャッジされることを恐れて、
一人で悲しみを抱え込んでしまう方は、
少なくありません。
けれど、
痛みは一人で耐え抜くものではなく、
誰かと一緒に感じることで
はじめて癒やされるもの。
セラピーの場でお伝えしたいのは
次の二つのことです。
一つ目は、その悲しみは
誰かと分かち合うことで
変わる可能性があるということ。
進化心理学や
愛着理論の観点から見ると
悲しみや涙には、もともと
「一人では抱えきれない」
「助けや慰めが必要だ」
ということを周囲に伝える
コミュニケーションとしての
役割があると考えられています。
つまり、悲しみは
隠して耐え抜くようにできている
感情ではなく、
本来は誰かに向けて発信され、
受けとめられることで
機能するようにできているのです。
だからこそ、安全な関係の中で、
その悲しみをきちんと言葉にし、
感じ切ることを許された経験は
一人で抱えていたときとは、
まったく違う質のものになります。
一人で耐えていた痛みが
誰かと一緒に感じることで動き出し
そうやってはじめて
癒やしの体験へと変わっていくのです。

二つ目は
深く悲しめるということは
それだけ深く大切にしていた証
だということ。
「こんなに悲しむなんておかしいのでは?」
という罪悪感は
実は
「それほど大切な関係だった」
という事実の裏返しでもあります。
その関係性の深さに
あらためて気づき直すことにも
大きな意味があるのです。
もし今、
大切な存在を失った悲しみを
誰にも言えずに抱えているなら…
その悲しみは、おかしなものでも、
決して、大袈裟なものでもありません。
一人で抱えなくていい痛みが
あなたにもあるかもしれません。
カウンセリングオフィスプログレスでは
こうした「言葉にしづらい喪失」についての
ご相談も承っています。
是非、お気軽にお問合せください。
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