
【vol.2110】
こんにちは!
カウンセリングオフィス
プログレスのむかいゆかです。
今、読んでいる『まずい面接』という本は
“マスター・セラピスト”と呼ばれる
アメリカのこの業界を牽引する
トップセラピストたちの失敗談が
赤裸々に書かれているという珍しい本です。
興味深く読み進めているところなのですが
昨日、読んでいたところで
「あぁ、これ、よくある、ある!」という
クライエント側の気持ちを描写する記述がありました。
16歳の少年がセラピーを受けにきていて
治療そのものは順調にいっていたのに
突然、少年が
「もうセラピーには来ない!」
と言い出したというエピソード。
もちろん
セラピストとしてはショックを受けます、
だって、それまではうまく行っていたのですから。
セラピストが少年に
止めたい理由を訊くと
彼はこう答えたとのことでした。
「先生に注意されたんだ。授業中に。何でかは忘れたけど。そしたら、僕、その場で泣き出しちゃったんだよ。」…(中略)…「このあいだは、仲のよかった奴が言ったことですごく腹が立って、それでそいつに怒鳴ってしまったんだ。そんなこともうしたくない。もうこんなのいやだ。前みたいにいろんな気持ちを感じないほうがラクなんだ」(p.67)
この少年、
母親が重度のアルコール依存症で
母親の面倒を何年もみなければならず
自分の感情や欲求は
心の奥底にしまい込んで
感じないようにしてやってきた
…という背景があります。
セラピーでは
そういった感情や欲求に触れていくことを
促進していきますし
自身の感情や欲求は
必ずしも他者のそれらと合致しないので
他者との間で軋轢が生じてくるのは
当然のことと言えば当然なのですが
自分の感情や欲求を抑えることでしか
それまで対処していなかったので
こういう事態に陥ると
どうしてイイかわからずに
辛さだけが募る
…ということは
まあまあよくある話なのです。
でも、これはセラピーが
「うまくいっていない」から
起きるのではなく
むしろ
「うまくいっているからこそ」
起きる現象でもあるんですよね!
それまで
自分の感情を感じないようにしてきた人が
セラピーの中で少しずつ
“感情に触れる力”を取り戻していくと
これまで気づかずに済んでいた痛みや
他者との関係の中で起きていた違和感にも
敏感になっていきいます。
それは決して「後退」を意味するのではなく
それだけ“生きている感覚”を
取り戻しつつある証でもあるのです。
とはいえども
これまでガッチリ閉じてきた扉を開けて
その奥にあった感情たちに出会うのは
しんどいもの。
ですから
「前の方がラクだった」と
感じることがあるのもまた、
自然なことなのです。
セラピーは
「感じない」ままでは
乗り越えられなかったことを
「感じる」ことを通して
乗り越えていくプロセスです。
その途上では
不安になったり、揺れたり、
立ち止まったりしたくなりますが
それは
「本来の自分」との再会を果たすための
避けては通れない通過点でもあります。
私たちセラピストは
その心の揺れや行きつ戻りつのプロセスを
ただ「見守る」のではなく
ともに感じ、ともに歩んでいくことによって
AEDP®︎セラピーにおける
大切な精神のひとつである
Undoing Alonenessーー
「ひとりではない」という実感と寄り添いながら
あなたが「本来の自分」との
再会を果たす旅路を伴走していきます。
感じることがしんどくなったとき
もうやめたくなったときにも
「それでも大丈夫だよ」と
伝えてくれる誰かがそばにいる。
そんな安心感が
変化や成長を支えてくれるもの。
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