
怒りの裏には
つながれなかった痛みや恥の感情が
隠れていることがあります。
【vol.2206】
こんにちは!
カウンセリングオフィス
プログレスのむかいゆかです。
私が心理学の道に
興味を持ったきっかけは
いろいろありますが
そのひとつは間違いなく
高校生の頃に流行っていた
FBI捜査官の本の影響。
今でも、その延長のように
ドキュメンタリー番組で
犯罪者の心理に触れることがあります。
最近観たのは
Netflix配信の
『殺人鬼との対談:サムの息子の場合』
という作品です。
(予告編は英語ですが、日本語で視聴可能)
1970年代に
ニューヨークを震撼させた
デビッド・バーコウィッツは
「サムの息子」を名乗って
無差別に人々を銃で撃っていった
連続射殺事件の犯人で
現在も服役中です。
その番組の中で
バーコウィッツに面会していた
心理学者のM・カパレリ博士が語った言葉が
印象に残りました。
「デビッドの怒りの裏には
恥の感情があった。
怒るほうが自分が強いと感じられる。
弱い者でいるよりは強いと感じたい」
この言葉を聞いた瞬間、
臨床の中で何度も出会ってきた
「怒りの奥にある痛み」のことが
思い出されました。
恥は怒りに
怒りは暴力に変わることがある
「モテない」
「相手にされない」
「無視された」
そんな体験が重なると
人は
「自分には価値がないのではないか?」
と感じやすくなります。
本当は誰かとつながりたかった。
愛されたかった。
でも、それが叶わなかったことの
恥ずかしさや悔しさは
簡単に言葉にできるものではありません。
むしろ
「そんな弱さを見せるくらいなら
怒った方がマシだ!」
と心が判断してしまうこともあるのです。
怒りは、ときに
“仮の強さ”として機能します。
ですが、その怒りが他者に向かうと
言葉の暴力や破壊的な行動に
変わってしまうこともあります。
最近、
「女性に相手にされなかった」
という理由で
見知らぬ女性を攻撃する事件が
報道されることがあります。
一見、ただの逆恨みに
思えるかもしれません。
しかし、その奥には——
「受けいれてもらえなかった」
「つながれなかった」
「見てもらえなかった」
そんな深い恥や孤独といった感情が
隠れていることがあります。
繰り返し拒まれ続けると
人は「もう誰にも傷つけられたくない」と
心を閉ざします。
そうして“怒りという鎧”をまといながら
関係そのもの断ち切るような行動に
出ることもあるのです。
セラピーでは
怒りを否定することはしません。
むしろ、「怒ってもいい」と
感じられること自体が
回復の一歩になることもあります。
そのうえで
「その怒りがどこから来ているのか」
“奥にある感情”を一緒に見ていくことが
とても大切です。
怒りの下には
悲しみや寂しさ、拒絶された痛みや恥といった
繊細な気持ちが潜んでいます。
それを少しずつ感じ直し
言葉にしていくことで
人は少しずつ変わっていけるのです。
怒りの奥にある
“本当の気持ち”をみつめていくことは
とても勇気のいることです。
でも、そこにはきっと
あなた自身の大切な願いや
まだ言葉にできていない想いがあるはず。
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